「個人事業主として建設業を営んでいた父親(事業者)が亡くなってしまった」 「事業を引き継ぎたいけれど、建設業許可はどうなるの?」 「期限があると聞いたけれど、何日以内に何をすればいい?」
個人で建設業許可を取得していた事業主が亡くなられた場合、残されたご遺族や後継者の方には、悲しみに暮れる暇もなく極めて重要な手続きが待っています。 それが、被相続人の死亡後30日以内に申請が必要となる「建設業許可の相続認可」の手続きです。
この記事では、ウェブサイト「おおいた遺言相続サポートセンター」を運営する「リーガルゲート行政書士事務所」が、個人の建設業許可における相続認可のルール、期限を過ぎた場合のリスク、必要な要件や手続きの流れについて分かりやすく解説します。
1. 個人の建設業許可は「自動的に引き継がれない」
まず結論からお伝えすると、個人の建設業許可は、事業主が亡くなったからといって自動的に相続人に引き継がれることはありません。
かつて(2020年9月以前)は、事業主が亡くなると相続人が廃業届を提出し、後継者が事業を継ぐには「新規で許可を取り直す」必要がありました。そのため、新規許可が下りるまでの間、500万円以上の建設工事を受注できない空白期間が生じてしまうという大きな問題がありました。
しかし、2020年10月1日施行の改正建設業法により「相続認可制度」(建設業法第17条の3)が創設されました。被相続人の死亡後30日以内に認可を申請し、その認可を受けることで、亡くなった事業主の建設業者としての地位をそのまま引き継ぐことが可能になりました。
💡 ポイント 許可の空白期間を作らずに事業を継続させるためには、「死亡後30日以内」の申請が絶対条件となります。「亡くなったことを知った日から」ではなく、亡くなった日から数える点にご注意ください。
2. 死亡から「30日以内」に申請が必要な理由とリスク
個人の建設業許可を相続する場合、相続人は被相続人の死亡後30日以内に、都道府県知事(または国土交通大臣)へ認可申請を行わなければなりません。この期限に延長の制度はありません。
期限を過ぎてしまった場合のリスク
万が一、この30日の期限を過ぎてしまうと、相続認可の手続きを利用することはできなくなります。
- 廃業届の提出が必要:相続人は、死亡から30日以内に廃業届を提出する必要があります(建設業法第12条)。
- 新規取り直しが必要:事業を続けるには、再度ゼロから「新規許可申請」を行わなければならず、許可が下りるまでの数か月間、許可が必要な規模の工事を請け負うことができなくなります。
- 無許可営業のリスク:許可がない状態で、500万円以上(税込)の工事(建築一式工事の場合は1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事)を請け負うと、建設業法違反(無許可営業)として、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象となる恐れがあります。
葬儀や四十九日の法要、その他の相続手続きで多忙を極める時期ですが、建設業許可については「まず最優先で動く必要がある」と覚えておいてください。
3. 建設業許可の「相続認可」を受けるための主な要件
相続認可を受けるためには、後継者(被相続人から事業を引き継ぐ相続人)が、建設業許可の要件を満たしている必要があります。 また、相続認可は、被相続人が営んでいた建設業の全部を引き継ぐ場合の制度です。一部の業種だけを引き継ぐことはできません。
主に確認すべきポイントは以下の4点です。
① 経営業務の管理体制(常勤役員等)
2020年の法改正により、従来の「経営業務の管理責任者(経管)」は「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」という要件に改められました。 個人事業の場合、この要件を満たすのは事業主本人(相続人)または登記された支配人です。建設業の経営経験(個人事業主や法人役員としての経験5年以上など)が求められます。
② 営業所技術者(旧:専任技術者)の確保
2024年12月の法改正により、「専任技術者」は「営業所技術者(特定建設業の場合は特定営業所技術者)」に名称が変わりました。 引き継ぐ営業所に、該当する業種の資格(1級・2級建築施工管理技士や一級建築士など)を持った技術者、または一定の実務経験を持つ技術者が常勤していることが必要です(相続人本人が兼ねることも可能です)。
③ 適切な社会保険への加入
健康保険・厚生年金保険・雇用保険について、適用事業所に該当する場合は加入していることが必要です。
④ 誠実性・欠格要件および財産的基礎
請負契約に関して不誠実な行為をする恐れがないこと、および暴力団関係者などの欠格要件に該当しないこと。また、事業を継続するための資産・資金調達能力があること。
💡 注意点 相続人ご自身が資格や実務経験を持っていない場合でも、営業所技術者については、要件を満たす従業員を配置することでクリアできる場合があります。 一方、経営業務の管理体制については、事業主本人または登記された支配人が要件を満たす必要があり、一般の従業員を配置するだけでは足りません。 どちらも判断が難しいところですので、諦めずに専門家へご相談ください。
相続認可を利用できない・注意が必要なケース
- 被相続人の建設業の一部だけを引き継ぎたい場合
- 相続を機に法人化して引き継ぎたい場合(相続認可ではなく、事業譲渡等の認可など別の手続きを検討することになります)
- 相続人がすでに別の建設業許可を持っている場合(許可の種類によっては承継できないことがあります)
4. 建設業許可の相続認可手続きの流れ(4ステップ)
[ステップ1] 後継者の決定と要件確認 相続人の間で話し合い、誰が建設業を引き継ぐのかを速やかに決定します。相続人が2人以上いる場合は、ほかの相続人全員の同意が必要です。あわせて、その相続人が許可要件(経営業務の管理体制・営業所技術者・社会保険等)を満たしているかを確認します。 ※遺産分割協議の成立を待つ必要はありません。30日以内の申請を優先してください。
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[ステップ2] 必要書類の収集・作成 被相続人との続柄がわかる戸籍謄本、ほかの相続人全員の同意書、後継者の略歴書や資格を証明する書類、財産的基礎を証明する書類などを手配・作成します。必要な書類は許可行政庁によって異なるため、手引きで確認しながら進めます。
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[ステップ3] 死亡後30日以内に「認可申請」を提出 知事許可の場合は都道府県の窓口(大分県の場合は各土木事務所・土木建築部)へ、大臣許可の場合は地方整備局(大分県は九州地方整備局)へ、相続認可申請書を提出します。
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[ステップ4] 審査・認可の決定 被相続人の死亡の日から認可・不認可の処分があるまでの間は、被相続人の許可は相続人が受けたものとみなされるため、審査期間中も事業を継続できます。無事に認可が下りれば、相続人が被相続人の建設業者としての地位を承継します。 なお、承継後の許可には、承継の時点から新たに5年間の有効期間が始まります。次回の更新時期が変わりますのでご注意ください。
大分での建設業許可承継・相続手続きのご相談は「おおいた遺言相続サポートセンター」へ
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このようなお困りごとは、ぜひ「おおいた遺言相続サポートセンター」へご相談ください。 運営元である「リーガルゲート行政書士事務所」では、建設業許可の申請・承継手続きはもちろん、亡くなられた事業主の戸籍収集や遺産分割協議書の作成など、相続手続き全般をワンストップでスピーディーにサポートいたします。
タイムリミットが迫っている場合でも、迅速に対応いたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
- ウェブサイト名:おおいた遺言相続サポートセンター
- 運営:リーガルゲート行政書士事務所
- 事務局所在地:大分県大分市千代町1丁目1番5号2階
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この記事は公開日・更新日時点の法令や制度にもとづいて作成しています。制度は改正されることがありますので、最新の情報は関係機関でご確認いただくか、当センターにお問い合わせください。相続税の具体的な計算や申告は税理士、登記の申請は司法書士の業務です。
この記事の執筆・監修 センター事務局長・行政書士 井上勉 (リーガルゲート行政書士事務所) おおいた遺言相続サポートセンターの参加専門家として、相続・遺言・事業承継に関する情報を発信しています。
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